指導方針#1

当チームの指導方針を一言で表すと「育成」となります。
サッカー競技を行う訳ですから当然指導目的は「スキルアップ」となり
ますが、重要なのは対象が心身の未発達である小学生であるということ
で特に身体の発達についてのメカニズムを理解しトレーニングメニュー
を立てる必要があるからです。

身長を例にとってみると、一番成長するのは生まれたばかりの赤ちゃん
だそうです。次は思春期といわれる中学生年代(男子を対象としていま
す。)でピーク時で1年間に10cm程度、小学生年代は年間5㎝程度
の成長をするそうです(成長科学協会)
但し、個人差がありますので一概には表せない部分がありますが、成長
することは間違いないことです。 その成長を担っているものとは何で
しょう。それは成長ホルモンです。成長ホルモンの分泌によりスイッチ
が入り身体の変化が行われます。(成長ホルモンは就寝時に最も多く分
泌される様で、「寝る子は育つ」と昔からよく言われますよね)
身長が伸びる際は骨の「骨端線」と呼ばれる部分が成長いたします。
また、骨や腱、筋肉は同時に成長するわけでなく、骨の成長に対応でき
なくなった腱や筋が引っ張られ「成長痛」が引き起こされたりします。
それらが顕著に表れるのが膝(オスグット)やカカト(シーバー病)と
一般的に言われる症状で原因が分からない痛みがある場合は「成長痛」
と診断されることが多い様です。
スポーツ活動で「成長痛」となる痛みを感じたときは、痛みを感じる活
動は止めトレーニング内容を変える必要があります。(これはオーバー
ワークということです。)「成長痛」は病気ではないから大丈夫と言わ
れますが急激な成長をした時に現れる現象ですので注意をしなければな
りません。休養をとる時期と復帰のための準備をする時期をしっかり見
極め体が対応できたときにすぐにスポーツ活動に復帰できる様トレーニ
ングメニューに関してコーチに相談をしましょう。
また、「成長痛」とならないまでも5・6年生の子供たちに現れるのが
「クラムジー」と呼ばれる現象です。ある日、急にパフォーマンスが落
ちてしまったり、思うように動けなくなってしまうことがあるのです。
これは体の変化に感覚が対応できなくなってしまう現象で、一時的に体
の機能がアンバランスとなってしまうことが原因です。
我々はこの年代の体の変化を注意深く観察し対応すべく務めておりま
す。今までの経験ですが「成長」に勝るパフォーマンスの向上はありま
せん。小学生年代では「成長」のたびに大きな向上が期待できます。
但し、個人差があり小学生年代では顕著な「成長」がみられない子供た
ちもが多いことも事実です。

「早熟」という言葉があります。個人差により小学生年代においても大
きく成長し、6年生リーグでは審判員(大人)より大きな体の選手を見
かけることがあり、以前は目立たなかった選手が活躍していたりします。
(結構足元の技術があまりなくてもフィジカルだけで活躍してる選手も
多いですよね!)
「早熟」の子供たちは他の子供たちと何がちうのか、それは成長ホルモ
ンの分泌が盛んにあることはもちろん、それとは別に大きく差が出るの
は男性ホルモンの分泌です。男性ホルモンの分泌は筋肉の形成に影響し
筋肉を太くし、男らしい体つきになるためのプロテインとなります。
男性ホルモンの分泌が盛んにされている者とされていない者で同じ筋ト
レをした場合には顕著な差が出るのです。
「早熟」な子供たちは、他の者より早めに体に鎧を付けることが出来る
と言うことです。
「早熟」であった選手は往々にしてジュニアユースでの活動を観に行く
と身長は他の選手と同じ(他の選手が大きくなり)となり、小学生年代
で優位としていたパフォーマンスは無くなっていることがあります。

私は卒業生(OB)の追跡も行っております。
当時5年生で行われていたダノンカップ(東京都選抜大会)
でブロック代表として出場し、最優秀選手に選ばれ、後にFC東京ジュ
ニアユースからのオファーを受けて6年生5月から飛級でFC東京ジュ
ニアユースに参加し、東京トレセン~関東トレセンにまで選出され、
当時の東京トレセンのコーチから今年の東京トレセンは「彼のための
チームだ!」とまで言わせた選手がおりました。
彼もいわゆる「早熟」な選手で小学生年代では優位を発揮し活躍した
選手です。(もちろんJrユース・ユース年代でも活躍しました。)
当然我々は彼の行く末に期待し見守りましたが、その後FC東京ユース
を経て大学進学、残念ながらプロへの道は遠かった様です。
(FC東京:山梨)
また、私がブロックトレセンコーチをやっていた時に三鷹第二中学校
ナイター開放で練習会を行っていたのですが、ブロックトレセンに選
ばれず二中の校舎の陰からうらやましそうに観ていた選手(それが印
象的だった)が高校で東京都代表校のキャプテンとして出場し全国大
会でも活躍しました。(久留米高校:桜井)
彼は小学生年ではテクニシャンではありましたが、線が細くフィジカ
ル面で押しが弱く選考会で当チームの他のメンバーが選ばれる中、落
ちてしまった選手です。
卒業後はJリーガーを目指し頑張っていました。

小学生年代でのその選手の姿(スキル・パフォーマンス)からその10
年後の姿、良くも悪くも事例としてフィードバックを行い小学生年代で
何をしなければならないのかを考えてきました。
「子供たちは大人のミニチアではない」という言葉があります。
指導者の記憶に新しい高校や大学時代に部活でやった練習、合理的であ
り、リアリティな練習ではありますが、その中に小学生が対象であると
いうことが加味されていることが重要だと考えます。
小学生年代に筋トレの効果はあまり望めません。ランニングでは走力の
向上以上に心肺機能の向上を目指す練習を行います。
これらは全て成長のメカニズムを考慮するからです。
当チームでは、1・2年生までに行うこと、3・4年生で行うこと、5
・6年生で行うこと(中学生までに習得しなければならい事)のプログ
ラムを立て活動を行っています。
「育成」とは小学生年代で必要なプログラムを担うことです。

指導方針#2 へ続く

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